桂 雀々 落語のひろば 東京Vol.2

11月19日(金) 開演18:30 


開口一番   桂 紅雀

動物園    桂 雀々

中入り(休憩)

対談うだうだ 桂 雀々VS 根本要

鶴満寺    桂 雀々


およそ200人弱収容のこじんまりとした築地本願寺内のホール。今日はゲストがご存じスタレビの根本要さんということでかけつけたファンが早々と列をつくり、ホール関係者もびっくりだとか。始まると立ち見も出るほどの大盛況。

さて、まずは

開口一番

ここでは若手の落語家さんによる一席があるのが通例。

−「ここで、タダでお酒が飲めるっていうのは本当かい?」

−「何言ってるんだぃ、ここは灘(なだ)のお酒が飲めるって言ったんだよ」

で始まる小噺。人を喜ばせるには年齢を2、3歳若く言うのがいいという話を聞きつけた男が、天ぷらと一杯のお酒をご馳になろうと企て、訪問先の知り合いの産まれたばかりの赤ん坊に対して、

「いやぁ、とても産まれたばかりとは思えません。まだ産まれてないみたいだ。」

動物園

桂雀々さんによる定番落語の一つ。「動物園」

怠け者の男が割のいい仕事がしたいというので、もちかけられた話が「動物園でトラの毛皮を着てお客さんを騙して一日1万円」という仕事。さっそく毛皮を着てみるとこれがぴったり。雀々さんの言い回し、仕草、どれをとっても面白い。前に拝見したときは「猿後家」という落語で猿真似をしていた雀々さん。今度はトラということで歩き方の物まねをするのだが、これが実にうまい。

さて、話を戻して、毛皮を着たその男、突然ライオンとの決闘ショーに出ることになってしまい大慌て。命からがら逃げ回っていると、ライオンがゆっくり近づいてくる。もう駄目だ・・・と思っている男にそのライオンがトラに耳打ち。「実は私も一日1万円で雇われているんですよ」

<中入り(休憩約10分)>

対談うだうだ

高座の真ん中に座布団が二つ。その一つに雀々さんが座る。

「毎回ジャンル違いのゲストを招いているんですけど今日は、お待ちかねスターダスト・レビューの根本要さんです。どうぞ!」

といって現われた根本要さんは、なんとサングラスなしの着物姿。

「ミュージシャンなんだから普通に出てくださいって言ったのに、『着物が着たい』っていうもんだから・・・なんか温泉に来たみたいだね」と雀々さんに言われながらも、とてもうれしそうに客席を一望する根本さん。

「いやぁ、いいねぇ、着物は。身が引き締まるねぇ」と言うところが、要さんにしては珍しくどうも舌がもつれてうまくしゃべれない。そんな要さんに雀々さんの突っ込み。

「コメントは引き締まってないね」(笑)

でもこの一言でほっとしたのか、いつもの調子に。「正座は大丈夫?」という雀々さんに、「うん、大丈夫」と答えた根本さんだったが・・・(そういえばこの数時間前に収録したラジオ番組「ニッポン放送テリーとうえちゃんのってけラジオ」ではお寺で数週間修行したことがあるという話をしていた)

まず説明しなくちゃいけないのが、雀々さんと要さんの関係。なんと二人はスタレビのデビュー当時からの友達で、約20年前に姫路文化センター小ホールでライブをやったときにゲストとして雀々さんが出演されたとか。約500人収容の小ホールだったのに、客席にはたった12人。しかも当時、スタレビの前座として雨宮ブルースバンドという、7人編成のアマチュアバンドと一緒にやっていたのだが、12人の客のうち、7人はこのバンドのメンバー。つまり実際にチケットをもって見にきたお客さんはたった5人だった。この様子を見た雀々さん、客が少ないステージに立つことは慣れていたつもりだったが予想外の少なさに言葉を失ったとか。「まるで明るい法事かと思ったよ」、という雀々さんの表現には笑ってしまった。それに負けじと要さんも「オレたちはお客が入らなくても楽しめる方法知っているしね」と言うが、「でも昔のスタレビはもっと汚かったよね」と雀々さん(笑)。

そんなスタレビのライブにも何度か足を運んでいるという雀々さん。フェスティバルホールには何度行っているし、スタレビをわが子のように思っているとか。(なんだか嬉しいですよね)

なんといっても初めて大阪城ホールが一万人のスタレビを観にきたお客さんで埋った様子を目のあたりにしたときは、あまりのうれしさに個人的に『要!よくやった!』と心の中で叫んでいたそうだ。本当に約20年スタレビを見続けている雀々さんは「悪いけどファンとしてはみんなには負けないくらい年期入っているからね」と自信ありげな様子を見せる。確かにすごい、と客席も雀々さんには感心しきり。

しきりに手拭で額の汗を拭く雀々さんを見て、ふと懐の手拭を取り出してみせる要さん。これで「うどんの食べ方」を雀々さんに伝授してもらうが結局「うどんでもラーメンでも一緒じゃん」ということになり、新年会を嘉門達夫さんのお宅でやったときに、雀々さんが笑瓶さんに落語を口伝えで教えてあげたときのエピソードなどの話になる。このメンバーのときはさすがの要さんも無口で聞き役にまわるんだとか。

と、ここで要さんの身に異常が。。。

そう正座を続けていたので足がしびれてきたらしい。「なんで雀々さんは大丈夫なの?」という要さんに「私はねぇ、常に気持ちが前へ前へなので神経を足に行かないようにしてるんですよ。足の方の神経はおろそかなんですよ」と雀々さん。さすがだ。

気慣れない着物に要さんもどうしたらいいか戸惑いながらも、「じゃ、失礼して」と胡座をかく。

「歌っていうのはその時代の思い入れがあっていいよね」と雀々さん。「その点、落語にはないんだよ『あ、この落語を聞いたとき、彼と別れたわ』・・・なんてことないもんなぁ」

そんな余韻が残るような歌を一曲。

ということでなんとアコースティックギターが要さんのもとに届けられる。着物でギターを構える姿に玉川カルテットみたいだとか、♪ボインは〜赤ちゃんのためにあるんやでぇ〜♪と歌いそうだ、とか散々突っ込まれながらも「こういうねぇ、妙な緊張感の中に自分でもどうなるのか分からない楽しさがあるんだよ」と言いながらピックを着物の袂から取り出す要さん。

シュガーはお年頃

目をつぶって楽しそうに聞き入り、サビの部分は一緒にくちづさんでいた雀々さんが印象的だった。

「もう一曲、アカペラであの曲やって!」という雀々さんのリクエストに答えて。 「辛いとき、悲しいときも歌が自分を頑張らせてくれる、そこには神が自分たちを見てくれているんだ・・・という曲を最後にお贈りします。」

AMAZING GRACE

それまでずっと座布団の上にすわっていたが、この曲は立たないと歌えない、ということで立ち上がって独唱。ほとんどマイクを通さない声が客席最後列まで響きわたる。

「もう一席私のがありますんでね、帰らないでくださいよ」と雀々さん。


鶴満寺

ここのお寺の桜は実にみごとだということで、花見に多くの客人が訪れるのだが、この寺の住職、境内を汚されるのが嫌で、騒いだり、酒を飲む客は中に入れず、その桜を見ることが許されるのは「歌人」のみ。そんな住職が留守の間になんとか忍び込み、桜の下で酒盛りをしていた客に呼ばれた寺男、泥酔して境内で居眠りをしているところに帰ってきた住職に、「花見をしていた歌詠みはどんな歌を詠んだのか?」と責められる。

坊主抱いて寝リャ かわいいもんだ どこが尻やら 頭やら

「もう一つ!『花の色はうつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに』」

それは小野小町の百人一首だろう?という住職。

「あ、そうでした、最初の歌が百人で、後のが一首です」


まず、やっぱり驚いたのが要さんの着物姿。なで肩には着物がよく似合う(笑)。桂 雀々さんとは20年来の友人とかで、本当に仲がいい様子が随所にみられ、微笑ましかった。まさか曲を披露するとは思わなかったのだが、狭いホールながらマイクを通さない歌声には感動。また、お客さんの中にはスタレビファンの方がたくさんいらしたようで、おそらく落語は初めてという方も多かったのでは、と思われるが、拍手のタイミング、笑うポイントなどバッチリでさすがライブで鍛えられていると妙に関心してしまった(笑)。とても雰囲気もよく雀々さんもテンポよく話していらっしゃるように見えた。

要さんが一席設けるのでは・・・と正直言って戸惑った方もたくさんいらっしゃることであろう。しかし、雀々さんとは仲のいい友人ということで前回の雀々さんの独演会を観に行ったという要さんが、「じゃ、次回はゲストとして出たら?」ということで出演することになったそうである。

どんな格好でも、どこでもやはり根本要はミュージシャンであることには変わりはなかった。


[トップページへ戻る]

webmaster@kumajun.net